山中温泉は開湯1300年の歴史を誇る、古来より多くの人々を惹きつけてきた名湯だ。天平の名僧行基によって発見され、長谷部信連によって再興されたこの温泉は、日本海に注ぐ大聖寺川の段丘面に位置している。地域の宝である「総湯」を中心に、山中の温泉文化は戦国時代や江戸時代に訪れた多くの人びとによって育まれてきた。温泉と共に名高い漆器産業も、訪れた旅人たちとの交流から生まれた文化の一部だ。
大正から昭和の戦後期には山中に根づいた「山中節」が全国的に知られるようになり、北陸屈指の温泉観光地としての地位を確立した。近年では観光の動向が変化しつつあるが、長い歴史に裏打ちされた温泉文化や地域の芸能、工芸技術はなおも魅力を放っている。現在、国内外のクリエイターや若い起業家が新たな山中温泉文化を創造しつつある。
このような背景のなか「新・山中温泉文化絵巻」が開催される。多彩なプログラムやアート作品を通じて、山中温泉の文化を体感し、過去の歴史と現在の息吹を感じられる場がうまれる。
踊り、映画、アート散歩、マルシェが融合した五感を刺激する4日間をお楽しみください。
「山中節」を舞台で唄い継いできた山中温泉の芸妓衆に、現代屈指の舞踊家・森繁哉が率いる気鋭のダンサーたちが加わり、山中温泉の幽玄な四季の移ろい、温泉地を舞台にした人々のドラマが一編の絵巻のように展開する舞踊劇を演じる。各舞台公演終了後に山中座広場で「こいこい踊り」を行う。
[森繁哉 プロフィール]
1947年生まれ。山形県大蔵村を拠点とする舞踏家・民俗学者。「乞食者」「漂泊者」など、前近代の芸能者さながらの在り方を内に秘めながら地域に根差した芸術表現を追求。身体や人間の本質を探究し、踊ることで不条理と向き合う。
40℃を超える湯温はリラックス効果よりもエナジーUPが期待されると言われ、山中温泉も例外ではない。本フェスティバルでは、山中温泉の1年をとらえたカン・タムラによるドキュメンタリー『YAMANAKA』をはじめ、アートと温泉文化に着目しセレクトした映画や映像作品、ドラマなど6作品を上映。朝や仕事の合間の入浴に映画鑑賞を加え、さらなるエナジーUP&チャージを。
leaflet PDFYAMANAKA / カン・タムラ 2025年、約60分
芸術祭に向け、一年かけ撮影されたドキュメンタリー映画のプレミア上映。歴史ある温泉街の記憶や感覚体験、自然、文化、歌、詩、季節の変化を、時に協働的に、時に観察的に追い求めた。
[カン・タムラ
プロフィール]1970年デラウェア州ドーバー生まれ。金沢在住。アーティスト、映像製作者、映像人類学者。民族誌映画とアートの交差点となる実験的なドキュメンタリー映画を制作している。
砂の女 / 勅使河原宏 1964年、147分
安部公房による小説を元に勅使河原自身が脚本を手がけた。砂丘地帯の穴の中で砂を掻き出し続ける女と、そこに囚われの身となる男。湯水のような砂とまみれる身体を前衛的に描いた衝撃作を、温泉地で鑑賞する。
山中温泉こおろぎ橋殺人事件 / 伊藤憲二 1995-2000年、120分
父の友人・大垣がこおろぎ橋から謎の転落死をとげたことをきっかけに、主人公は猟奇殺人事件に巻き込まれる。横浜ケーブルテレビの自主映画放映企画として制作された全5話に渡るサスペンスドラマ。
Kappa / ブルース&ノーマン・ヨネモト 1986年、26分
R18※18才未満の方は鑑賞できません。
河童伝説とギリシア神話を題材にした作品。河童のキャラクターでおなじみ、日本酒黄桜のCMも映る。河童を演じるマイク・ケリー、音楽のカール・ストーンはいずれもアメリカを代表するアーティスト。
©Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York
能登半島 – Noto 2017 / エディット・ユート 2024年、60分
人と自然が平等に存在する日本の神話とその日常への影響を探求するため、国内4カ所をめぐったドキュメンタリー『水の音 Sound of Water』から、能登のフッテージを抽出した能登復興バージョン。
U-zhaan & Ryuichi Sakamoto feat. 環ROY×鎮座DOPENESS「エナジー風呂」 / 馬場一萌(監督) 2019年、5分
©commons
本フィルムフェスティバルのタイトルの由来となった楽曲のミュージックビデオ。1999年に坂本龍一がリリースした楽曲「energy
flow」を、2018年にU-zhaanと坂本がアレンジ。「エナジー風呂」はさらにそのラップ版として制作された。
※各作品の上映前にご覧いただけます。
観光、文化、経済、民俗、メディアなど多様なジャンルの有識者を招へいし、山中温泉および加賀温泉郷をケーススタディとして温泉地の課題や可能性を多面的に考察する。「温泉文化」という視点から温泉地の魅力を再構成し、将来にわたって持続可能な温泉地の在り方について議論する。山中温泉から温泉文化ルネッサンスの狼煙を上げることで各温泉地が連携し、温泉の未来を共に考える契機とする。「温泉文化」を日本の文化として次代に継承し国内外へ発信することを目指すなかで、ユネスコ無形文化遺産登録も視野に入れる。
山中温泉街全体に点在するアート作品を手がかりに、伝統とモダンが息づくこのまちを体感する。芝山昌也、入江徳俊、上田千裕、奥村花菜、深田拓哉、丹羽啓、O33、笹井南海の8組のアーティストによる作品を山中温泉総湯広場、ゆげ街道、医王寺、長谷部神社、芭蕉の館、無限庵など温泉文化と深いつながりのある場所に設置。アートに導かれながら場所の魅力を味わうことで、山中温泉の成り立ちを見てとることができる。散策の合間には、春先の鶴仙渓の豊かな自然や地元の食と土産を堪能するのもおすすめ。菊の湯の入浴チケットが付いており、山中温泉の芸術と現代の温泉文化を楽しめる。
山中温泉在住の漆芸家、更谷富造が所有する普段は非公開の古民家をリノベーションしたオークションハウスを会場として、1日限りの特別な食体験を提供。ミシュラン二つ星の名店「天ぷら元吉」で10年に渡り腕を磨き、2025年春に金沢で独立予定の「てんぷら的場」の大将的場大樹がメインシェフを務め、地元の名シェフとコラボレーションした特別なコース。ペアリングは和酒BAR縁がわの店主が務める。器には山中の作家や企業、アーティストたちの作品をふんだんに用いた、五感で山中を感じる「食と工芸の会」。
ものづくりと交易の山中温泉を味わう。ワークショップでは自然素材にこだわった個性的なものづくり体験をご用意。山中漆器の木くずや「訳あり木地」を使う苔玉やリースづくりから、伝統の「我谷盆」をつくる1日がかりのワークショップまで。マルシェは約45店舗がこだわりの飲食や雑貨を提供し、温泉文化の中心地に賑わいを生み出す。
leaflet PDF
日時:3月22日(土)、23日(日)
10:00〜16:00
会場:菊の湯広場、山中座周辺
日時:3月22日(土)、23日(日)
9:00〜17:00
会場:旧北國銀行山中支店
料金:2,000円
※ 1日3ラウンド(1ラウンド最大5名で90分)
日時:3月22日(土)、23日(日)
9:00〜17:00
会場:旧北國銀行山中支店
料金:4,000円
※ 1日3ラウンド(1ラウンド最大5名で120分)
日時:3月22日(土)、23日(日)
9:00〜17:00
会場:旧北國銀行山中支店
料金:500円
※1日30ラウンド(1ラウンド1名10分)
日時:3月22日(土)、23日(日)
9:00〜17:00
会場:旧北國銀行山中支店
料金:4,000円
※申込みを締め切らせていただきました
日時:3月22日(土)、23日(日)
9:00〜17:00
会場:旧北國銀行山中支店
料金:1,000円(23日のみ)
※随時開催
ご相談、お問合せは
(一社)山中温泉観光協会(0761-78-0330/otazune@yamanaka-spa.or.jp)まで